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最高裁判所第三小法廷 昭和24年(れ)1230号 判決 1951年2月27日

主文

本件上告を棄却する。

理由

弁護人亀井秀雄の上告趣意は末尾添附の書面記載のとおりであってこれに対する当裁判所の判断は次のとおりである。

未決勾留日数を本刑に算入しないことを以って憲法に保障する基本的人権を侵害するものであるという論旨の理由のないことは当裁判所の判例とするところ(昭和二二年(れ)一〇五号同二三年四月七日大法廷、同二三年(れ)七六二号同二三年一一月一三日第二小法廷各判決参照)に徴し明らかである。次に未決勾留は被告事件の審理の必要上認められる訴訟手続上の拘禁であって刑の執行ではなく又未決勾留日数の本刑算入は刑及び刑の執行でないこと当然である。そして憲法三六条にいわゆる残虐な刑罰とは不必要な精神的肉体的苦痛を内容とする人道上残酷と認められる刑罰を指称すること当裁判所の判例とすることろであって原判決が未決勾留日数を本刑に通算しないことが右にいわゆる残虐な刑罰にあたらないこと亦明らかである。論旨はすべて理由がない。

よって旧刑訴法四四六条に従い全裁判官一致の意見により主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 長谷川太一郎 裁判官 井上 登 裁判官 島 保 裁判官 河村又介)

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